運命

TaktOp(タクトオーパス)の登場キャラクター「」について解説する。

基本情報

楽曲
交響曲第5番ハ短調Op.67「」
声優
本渡 楓(ほんど かなで)
フレーバーテキスト
淑やかな少女。声を荒げることなどは少なく、振る舞いも優雅。しかし、自分の中の価値観に従って動くので、物腰は柔らかいが融通がきかない。少し天然じみたところがあり、とんでもなくズレたことを言ってしまうことも。

元ネタ

「」という名称で呼ばれた理由

交響曲第5番ハ短調Op.67はベートーヴェンが作曲した5番目の交響曲。「」という名称で知られているが、これは通称であってベートーヴェン自身による正式な名称ではない。この通称は、ベートーヴェンの秘書アントン・シンドラーが「冒頭の4つの音は何を示すのか」と尋ねた際に「このようには扉を叩くのだ」とベートーヴェンが答えたことに由来しているとされる。

演奏当時の様子

1808年12月22日、オーストリア・ウィーンの劇場にて初めて「」が演奏された。当時のプログラムは以下の通りであった。

・交響曲第6番ヘ長調「田園」

・アリア「Ah,perfido」

・ミサ曲ハ長調「グロリア」

・ピアノ協奏曲第4番

・(休憩)

・交響曲第5番ハ短調「」

・ミサ曲ハ長調「サンクトゥスとベネディクトゥス」

・合唱幻想曲

劇場には暖房がなく、少数の観客が寒さに耐えながら演奏を聴いていた。コンサートのプログラムは全体で4時間を超える非常に長いものであり、演奏家はさることながら観客にも辛いものだった。アリアの歌手がコンサート当日に急遽出演できなくなり、代わりの歌手が緊張のあまり歌えなくなって割愛。合奏幻想曲も演奏途中で混乱して始めからやり直すという不手際。コンサートは完全な失敗に終わった。

が他の作曲家に与えた影響

コンサートは失敗に終わったものの「」の評判はすぐに高まり後世の作曲家にも大きな影響を与えた。ベートーヴェン以降は「第5番」という数字が交響曲作曲家にとって非常に重要な意味をもつものとなり、チャイコフスキーやブルックナーなどの作曲家は自身の傑作を第5交響曲として残した。

曲の構成

は4つの楽章で構成される35分程度の交響曲。それぞれの楽章では以下のようなものを描いている。

第1楽章(ハ短調)

「ジャジャジャジャーン!!」から始まる激しい葛藤を描いた。

第2楽章(変イ長調)

ヴィオラとチェロで出る穏やかな曲A、木管と金管で奏でる力強い曲Bを交互に繰り返し、瞑想的な風景を描いた。

第3楽章(ハ短調)

チェロとコントラバスによる低音の分散和音が提示する不気味なスケルツォを描いた。

第4楽章(ハ長調)

ピッコロやコントラファゴット、トロンボーンなどの華やかな響きが特徴。解き放たれる歓喜を描いた。

イラストレーションノベル

のイラストレーションノベル

「香りと記憶」

ティーポットを傾けると、カップに流れ落ちる小気味よい湯音とともに、紅茶のふくよかな香気がわたしを包みました。立ち上る湯気越しに、眼下に広がる街並みが見えます。ここは、”ベルリン・シンフォニカ”の食堂テラス。ベルリン・シンフォニカは、D2の侵略を受けた人類が、荒廃する地上から逃れるように作り出した地下都市です。今は午後3時を過ぎた頃。見上げれば、雲一つない青空と、沈んでいく太陽が南西に見えました。意識しないと気づきませんが、これは本物の空ではありません。ここはベルリンのはるか地下。あの空は、巨大な天井に映し出されたフォトリアルの極致たる映像なのです。この、生活圏であり、謎に満ちた要塞でもある街のことを、”人類最後の希望”と呼ぶ人もいます。「…平和ですね」紅茶を少しだけ口に含むと、私はカップを置き、ひとり呟きます。ここ数か月、ベルリン周辺ではD2の襲撃もなく、比較的穏やかな日々が続いていました。ついにクリスマスシーズンがやってきたこともあり、どことなく町全体が浮ついた印象です。ドイツの人々にとって、クリスマスは特別なお祭り。クリスマスマーケットが名物で、街のあちこちにかわいく飾られた屋台が立ち並び、手作りのオーナメントやお菓子、グリューワインなど、様々なものを買うことができます。あちこちで音楽が鳴り、笑顔の絶えない一か月。それが、ここベルリンのクリスマスー-でした。”人類滅亡”この言葉がちらつくこの世情では、かつてのようにはいきません。地上の町の惨状は、目を覆いたくなるばかりです。ですが、年に一度のお祭りなのです。細々とでも、人間の営みがなされ、地上に笑顔が戻ることを、私は願ってやみません。不意に、私の背後で、誰かが言い争う声が聞こえました。「おい、『こうもり』!それはあたしのお気に入りだぞ!返せよ!」「これは冷たいですねえ、『木星』さん?クリスマスシーズンだってのに前線へ送り込まれるかわいそうな私に少しくらい慈悲の心を持ったっていいじゃありませんか」『木星』と『こうもり』の二人でした。どちらも、ベルリン・シンフォニカ所属のムジカート。木星は、いつも元気いっぱいで、戦場に勇気と推進力を与えてくれるムジカートです。紅茶で言うなら、力強さと癖のなさを併せ持つアッサムというところでしょうか。一方のこうもりは、少しばかり皮肉屋ですが、持ち前の遊び心で、わたしたちに知性と心の余裕をもたらしてくれます。言うならば、カカオとシナモンを加えた軽妙なスパイスティー。そんな二人は、小さな花束のようなものをかけて、言い争っているようでした。私は騒がしい二人を横目で見ながら、ゆっくりカップを傾けました。「それは『きらきら星』があたしにくれたんだぞ!」「借りるだけです、借りるだけ。だって戦地へ行くんです、お守りくらいほしいじゃないですか」「そりゃ、そうだけど…お前はお守りなんてガラじゃないだろ?」「ええ、その通り。ですが前線へ行くのは私だけではなく、コンダクターもいるでしょう?コンダクター用、ですよ」「ぐぬっ…!」そういわれると弱いようで、木星は眉根を寄せて、少しだけ口を尖らせました。こうもりの言った”前線”とは、オーストリアのことでしょう。D2の激しい襲撃を受けているその場所へ、ここベルリンからも何名かのムジカートとコンダクターが送り込まれると聞いています。こうもりは、してやったりという顔で、見えないように舌をぺろりと出し、食堂を逃げるように出ていきます。木星は、どこか納得いかないものの、観念した表情で、とぼとぼとその後をついて出ていくのでした。木星の気持ちはわたしにもわかりました。世界各地で戦禍は広がり、前線では多くのムジカート、コンダクターが命を落としています。特に。”ただの人間”であるコンダクターは…。これからオーストリアへ送り込まれるコンダクターの中には、まだ見習の少年少女もいるようでした。新しいコンダクターを育てては、それ以上に死んでいく彼や彼女たち。まるで生と死のいたちごっこです。コンダクターがいれば、ムジカートは通常以上の力が発揮できます。ですが、その代償が彼らの命では、あまりにやりきれません。わたしは、にわかにざらついた気持ちを落ち着かせようと、紅茶を口に含みました。わずかな草いきれと、さわやかな花のような香り。瞬間、いつか私の横を通り過ぎていった、もういないコンダクターの背中が思い浮かびました。香りと記憶というのは、脳の深いところで結びついているそうで、ある香りを嗅ぐと、特定の記憶が呼び起こされることがあるようです。もしかしたら、私がこの紅茶を飲んでいた時に、出撃していくその人の背中を見送ったのかもしれません。ふと、思い出しました。このベルリン・シンフォニカのさらに地下には、とある曰く付きのコンダクターが眠っているそうです。世界に災厄をもたらしたコンダクターが懲罰として眠らされているとの噂もあれば、世界を救う大きな力を持つために、その時がくるまで眠っているともいわれます。眉唾ものと笑う人もいるでしょう。ですが、わたしはその噂に、どこか心惹かれるものを感じていました。理由はわかりません。ただ、その人を、とても他人とは思えないのです。もし、地下に眠るその人が目を覚ましたら。そして、私のコンダクターになるとしたら。その時は、私のお気に入りの紅茶をブレンドして、あいさつ代わりにもてなしましょう。お茶請けの菓子に…タルトタタンでも添えて。わたしが、いつまでも彼のことを忘れないように。彼が、いつもあでも私のことを忘れないように。そして、その紅茶を–””とでも名付けましょうか。(原案ん。高羽彩 小説:石原宙 イラスト:ポップキュン)

キャラクター紹介PV

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読む  木星

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